【体験談】マレーシアでの骨折、治療費は総額いくら?保険請求のリアル

この記事は約10分で読めます。

海外で突然、骨折してしまったら…?

言葉の壁、慣れない病院のシステム、
そして何より気になる高額な医療費。
次から次へと不安が押し寄せ、
途方に暮れてしまいますよね。

前回の記事では、私がマレーシアで腕を骨折し、
病院で緊急の処置を受けるまでをお伝えしました。

事の次第は
「【体験談】まさかの骨折!マレーシアで病院に駆け込んでわかったこと
をお読みください。

今回は、そこから始まった
全治6週間のリアルな療養生活の全てを、
包み隠さずお届けします。

この記事を読めば、以下のことがわかります。

  • 片手が使えない不便なギプス生活と、仕事の両立のリアル
  • 海外の病院での診察の流れと、英語での思わぬ落とし穴
  • 実際にかかった治療費の総額と、保険申請の具体的な注意点

今まさに海外で怪我をして困っている方、
そして、万が一の時に備えておきたいと考えている方へ。

きっとあなたの助けになる情報が、ここにあります。

ギプス生活で不便だったことと、その対策

ギプスをしながらの生活では、
仕事とプライベートの両面で、
これまで経験したことのない不便さに直面しました。

1.仕事への影響と両立の工夫

まず真っ先に頭をよぎったのが、
仕事のことでした。

病院からは「Medical Certificate(診断書)」として
14日間の休暇許可をいただきました。

そのため、公的には2週間休むことが可能です。

しかし、私はいくつかの理由から、
できれば病欠(Sick Leave)を
取得したくないと考えていました。

  • 部署への影響:
    私の職場では、病欠者が出ると部署に対するペナルティのようなものがあり、他の同僚が有給などを取得しにくくなってしまうため。
  • 年間の取得日数の問題:
    年間で取得できる病欠日数には上限があり、今回の14日間はほぼ上限に近い日数でした。ここで使い切ると、今後、本当に風邪などで体調を崩した際に休めなくなってしまいます。
  • 自身の体調:
    患部を動かせば痛むものの、発熱や倦怠感があるわけではなく、体自体は元気だったため。

とはいえ、片手が使えない状態で出勤することが、
本当に会社のためになるのかは分かりません。

そこで、正直に状況を伝えた上で、
上司に判断を仰ぐことにしました。

管理者間で相談いただいた結果、
ありがたいことに「片手でも大丈夫」という許可をいただき、
約1ヶ月間、腕を三角巾で吊るした状態で
デスクワークをさせてもらいました。

これはあくまで私の職場環境や
個人的な考えによるものです。

一概に「働くべき」というわけではありませんが、
一つのケースとして参考にしてください。

2.一人で乗り切った日常生活の課題

この時期、ちょうど妻が日本へ一時帰国していたため、
日常生活のすべてを
基本的に一人でこなす必要がありました。

色々と大変なことはありましたが、
6週間の療養期間の中で
「これが一番きつかった…」と断言できる出来事があります。

それは、
骨折する前日に、ネットショッピングで洗剤などの 重たいものを大量に注文してしまっていたことです。

私の住むコンドミニアムは、
配達物を1階のロビーで受け取り、
自室までは自分で運ばなければなりません。

頼れる人もおらず、
片手で少しずつ運び、
自室とロビーを何往復もしました。

汗だくになりながらの作業は、
今思い出しても過酷でした(笑)。

もちろん、シャワーや他の家事も不便ではありましたが、
そのあたりは日本での骨折と大きく変わらないため割愛します。

最後に、マレーシアならではの悩みについても触れておきます。

それは、
常夏の気候による「蒸れ」と「かゆみ」です。

少し外を歩くだけで、
腕を固定しているシーネの中が汗で蒸れ、
猛烈なかゆみに襲われます。

これは精神的にかなりしんどかったです。

ただ幸いなことに、
職場はエアコンが効いていて寒いくらいだったので、
勤務中にこの問題で悩まされることはありませんでした。

定期的な通院の記録と経過

骨折後の通院は、
基本的に2週間に1回のペースで進みました。

最初のうちは勝手がわからず苦戦しましたが、
流れを一度覚えてしまえば、
あとは毎回同じだったのでスムーズでした。

2回目の診察:英語の聞き間違いで院内をさまよう

骨折と診断されてから2週間後、
初めての再診で病院を訪れました。

前回は緊急外来(Emergency)でしたが、
今回は予約済のため、
「整形外科」部門のカウンターで直接受付をします。

機械で番号札を取り、順番を待つスタイルです。
朝一だったので、すぐに番号が呼ばれました。

受付で名前と予約を確認すると、
「まずはレントゲンを撮ってきてください」とのこと。

ここで、私のプチ英語の壁が立ちはだかります。

受付の担当者からは、
「まずはイマージンデパートメントへ行け」
と聞こえました。

(イマージン…? Emergency(エマージェンシー)のことか!)

私は前回お世話になった「緊急外来」へ行けということだと
自分の中で勝手に解釈し、そちらの受付へ向かってしまいました。

緊急外来の受付で整形外科から渡された用紙を見せると、
「なんでここに来たの?」と言われる始末。

「いや、向こうでエマージェンシーへ行けと言われた」
「いやいや、あなたが行くのはイマージンだよ」

謎の問答を繰り返した後、
呆れられたのか「もう一度入口の総合案内へ行け」と言われ、
渋々もと来た道を引き返しました。

その途中、ふとレントゲン室の方向を見ると、
壁に大きくこう書かれていました。

「Imaging Department」

ここでようやく、私は「Imaging(イメージング)」を
「Emergency(エマージェンシー)」と聞き間違えていたことに気づきました。

日本だと「レントゲン室」で通じていたので、
まさか「Imaging Department」という名称だとは
夢にも思いませんでした。

Imaging Departmentの受付で用紙を見せると、
「待ってたよ!」と温かく迎えられ、
無事にレントゲン撮影を終えることができました。

その後はスムーズで、
整形外科の待合室に戻り、30分ほどで診察室へ。

先生がレントゲン写真を見ながら、
一度シーネ(添え木)を外して腕の動きや痛みを確認。

「順調だから安静に。また2週間後ね」
とのことで、この日の診察は終了。

受付で次回の予約と支払いを済ませ、
一通りの流れを把握することができました。

3回目の診察:突然の予約キャンセルとギプスの短縮

予約日の3日前、
知らない番号からスマホに鬼のような着信がありました。

私は知らない番号には出ないと決めているので、
すべて無視していたところ、
今度はWhatsApp(LINEのようなSNSアプリ)に
なんと病院から直接メッセージが届きました。

「先生に手術が入ったため、あなたの予約はキャンセルになりました。
日付を変更したいので至急お電話ください」

…そんなことあるのか、と驚きつつ、
苦手な英語での電話を覚悟しました。

ChatGPTで使うであろうフレーズを予習し、
なんとか電話で予約を変更。
海外生活の洗礼を受けた気分です。

当日の診察は、もう流れがわかっていたのでスムーズでした。

先生はレントゲンを見るなり、
「うん、順調だね。
あと2週間で治ると思うけど、ギプスもう少し短くしたい?」
と提案してくれました。(ここポイントです)

少しでも不便さから解放されたかった私は、
「お願いします!」と即答。

すると処置室へ案内され、
先生が私の腕のサイズに合わせて、
大きなシーネをカットして新しいものを作り、
付け直してくれました。

その丁寧な対応に、
「日本の病院と変わらないな」と改めて感じました。

4回目の診察:ギプス除去と、待ち受けていた新たな痛み

ギプスが短くなり、腕の可動範囲が増えて
生活はかなり楽になりました。

そして、ついに4回目の診察。
先生から「もう大丈夫だね」と、
シーネを外す許可がおりました。

(やったー!)

そう思い、手首を動かそうとした瞬間、

すっっっっっっごく痛い!!!!

驚いていると、
「ずっと固定していたから筋肉や筋が固まってるんだよ」
と先生から説明が。

これからはストレッチのような形で、
自分でリハビリが必要とのこと。

「リハビリの先生に診てもらう?」
と提案されましたが、ストレッチなら自分でできるだろうと思い、
今回は丁重にお断りしました。

次回の最終確認は4週間後ということで予約をとり、
こうして私のギプス生活は、ようやく終わりを告げたのでした。

【体験談】実際にかかった治療費と保険について

さて、後述するとしていた「治療費と保険」の話です。

結論から言うと、全額保険適用となった初診とは異なり、
2回目以降は「一部補助」という形になりました。

最初に全額おりたので「骨折は全額いけるんだ!」と
安心していたら、そんなことはありませんでした。

実際にかかった費用

まずは、実際にかかった治療費の総額と、
保険を申請した結果、自己負担額がいくらになったのかをまとめます。

▼ 診察ごとの治療費

治療費 (RM)日本円の目安
1回目 (初診)2,090.88約 71,100 円
2回目310.91約 10,600 円
3回目636.07約 21,600 円
4回目286.42約 9,700 円
5回目192.13約 6,500 円
合計3,516.41約 120,000 円

▼ 保険適用後の自己負担額

自己負担額 (RM)保険適用額 (RM)
1回目02,090.88 (全額)
2回目5.00305.91 (ほぼ全額)
3回目436.07200.00
4回目86.42200.00
5回目0192.13
合計527.49

※ 1RM = 34円で計算

ということで、現時点で今回の骨折で支払った費用は
合計 RM527.49(約18,000円)となりました。

もし保険がなければ12万円だったと考えると、
本当にゾッとしますね…。

なぜ「一部補助」になったのか?

保険には、「通院」か「入院」か
適用される限度額が変わるルールがあるようでした。

もちろん私は「通院」なので、
限度額が低い方のプランが適用された、というわけです。

特に「Consultation(診察・処置)」の項目に
RM200という上限があり、
それを超えた分が自己負担になりました。

学び①:治療の「希望」は自己責任

この経験を通して、海外の病院での向き合い方について
大きな学びがありました。

3回目の診察時、ドクターは私にこう尋ねました。
「あと2週間で治ると思うけど、ギプスをもう少し短くしたい?」

当時、私は初診の費用が全額戻ってきたことから、
「骨折治療は入院枠が適用されて全額カバーされるんだ」
と完全に思い込んでいました。

なので、少しでも楽になりたい一心で
「お願いします!」と短くしてもらうことを「希望」しました。

結果、明細にはその処置費用や、
処置室の利用料がしっかりと計上されていました。
この「希望」した分の費用が、上限を超えた大きな要因です。

あと2週間、大きいギプスで我慢していれば、
自己負担はRM300(約1万円)ほど安くなったはずです。

もちろん、親身に提案してくれたドクターを非難するつもりは全くありません。
ただ、「その処置は本当に必要か?」を自己責任で判断する重要性を痛感した出来事でした。

ちなみに、なぜか全額適用された初診の費用。
これは入院枠が適用されたようでした。

「2回目以降も同じ枠にしてほしい」と保険会社に連絡して、
「あ、1回目が間違いでしたね」と修正されても困るので、
賢明に(?)問い合わせないでおきました。

学び②:たかが紙切れ、されど「予約票」

保険の申請で、もう一つ戸惑ったのが
「予約票」の提出です。

初診後には2回目の予約票をもらえたのですが、
2回目の診察後には、なぜか3回目の予約票をもらえてませんでした。

これを特に気にせずに保険申請したところ、
申請から13日後(次の診察日の前日!)になって
「予約票がないので受理できません」と連絡が来たのです。

わざわざこの紙のためだけに病院へ行くのも…と思い、
診察当日に受付で
「保険申請に必要だから、今日の予約票を発行してほしい」
と伝えてみました。

すると、受付の方は快くPCを操作し、
その場で印刷してスタンプを押して渡してくれました。

日本ではあまり意識しない書類ですが、
保険申請においては非常に重要な書類なのだと学びました。

まとめ:骨折を経験して

これまで風邪や新型コロナウイルスなど、
なにかとマレーシアで病院にかかる機会はありましたが、
今回のように大きな病院へ通院したのは初めての経験でした。

この記事では、そんな私の骨折治療の記録として
ギプス生活での不便さ、通院の様子、
そして一番気になる「治療費と保険」のリアルについて
お伝えしてきました。

今回の経験で一番強く感じたのは、
海外での医療、特に私立病院は、 やはりお金の準備が何よりも重要だということです。

マレーシアの医療レベルは高く、
先生や看護師さんも親切で、日本の病院と遜色ないと感じました。

ですが、それはあくまで「私立は」という条件付きです。

幸いにも私は保険が適用されましたが、
それでも処置代の7割を自己負担した日もありました。

もしもの時に備えて、
自分の保険内容(特に通院時の上限額)を きちんと把握しておくことの大切さを、
身をもって学びました。

この体験談が、
これから海外で生活される方や、
今まさに怪我をして不安な思いをされている方にとって、
少しでも参考になれば幸いです。

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